本研究室では、データ工学を中心に、データベース、データマイニング、情報ストレージ、データプライバシー、機械学習・生成AIなどを組み合わせ、実社会のさまざまなデータを対象とした研究を行っています。研究テーマは、教員から与えられたテーマをそのまま実施するだけではありません。
「解きたい技術的な問題」から研究を始めることも、
「面白いデータ」から研究を始めることもできます。
研究テーマの決め方
Method-first: 技術的な課題から始める
例えば、
- 大量のデータから重要なパターンを効率よく発見したい
- 欠けているデータを、根拠を説明しながら補完したい
- 類似するデータを高速かつプライバシーを守りながら検索したい
- 生成AIの回答が、どのデータや文献を根拠としているのか追跡したい
- 大規模データを高速・安全・省エネルギーに管理したい
といったデータ工学上の問題を出発点として、新しい手法やシステムを研究します。そして、提案した方法を実際のデータを用いて検証します。
Methodological Problem
→ New Method / System
→ Evaluation with Real-world or Synthetic Data
Data-first: 興味のあるデータから始める
一方で、
- 医療データ
- 音楽
- 映画・映像
- 画像
- ダンス・身体動作
- 演劇・舞台芸術
- Web・SNSデータ
- センサデータ
- その他、自分が興味を持つデータ
などから研究を始めることもできます。まず、「このデータから何が分かるだろう?」、「現在の方法では何ができないだろう?」という問いを考え、そこからデータ工学の研究課題を見つけます。
Interesting Data
→ Research Question
→ Data Engineering Method
→ New Knowledge / System
そのため、研究室で現在扱っているデータと同じデータを使う必要はありません。
こんな問いが研究になる
研究テーマは特定の応用分野に限定していません。例えば、次のような素朴な疑問も、データ工学の研究につながります。
「似ている音楽とは、何が似ているのだろう?」
大量の楽曲から特徴を抽出し、類似検索やクラスタリングの方法を研究できるかもしれません。
「同じダンスでも、人によってどのように動きが違うのだろう?」
時系列データや映像から、動作パターンや個人差を発見する研究につながります。
「大量のデータの中から、人が気づいていないパターンを発見できないだろうか?」
データマイニング、パターンマイニング、クラスタリングなどの研究になります。
「生成AIの回答を、どこまで信頼できるだろう?」
検索拡張生成(RAG)、情報検索、データ来歴、根拠追跡などの研究につながります。
「データが欠けていても、正しく分析できるだろうか?」
欠測値補完、データ品質、説明可能AIなどの研究テーマになります。
大切なのは、最初から高度な研究テーマを知っていることではありません。自分が面白いと思うことを、研究として検証できる問いに変えていくことを重視しています。
研究はどのように進める?
研究テーマは、学生と教員で相談しながら決めます。一般的には、
興味・問題意識
→ 関連研究を調べる
→ 研究課題を明確にする
→ 手法を考える
→ 実装・実験する
→ 結果を分析する
→ 論文としてまとめる
という流れで進めます。
単にプログラムを作ることが目的ではありません。「何が問題なのか」、「既存研究ではなぜ十分ではないのか」、「自分の方法によって何が改善されたのか」を明確に説明できる研究を目指します。
学部生の方へ
卒業研究では、まず研究の進め方を身につけることを重視します。最初から研究テーマや使用する技術が明確である必要はありません。授業や演習を通じて、
- データベース
- データ分析
- プログラミング
- AI・機械学習
- マルチメディアデータ
などに興味を持った方は、ぜひ研究室を訪ねてみてください。研究室で既に進めているテーマに参加することもできますし、自分が興味を持っているデータや問題から新しいテーマを考えることもできます。卒業研究を通じて、「答えがまだ分からない問題を、自分で調べ、考え、検証する」という研究のプロセスを経験してほしいと考えています。文化情報工学科ではない学部生でも、興味があれば連絡してください。
Masterを希望する方へ
博士前期課程では、卒業研究より一段深い研究課題に取り組みます。単に既存手法を適用するのではなく、既存研究の限界を明確にし、それを改善する新しいアイデアを提案することを目指します。
例えば、
- 新しいデータマイニングアルゴリズム
- 大規模データ管理手法
- 説明可能なデータ分析
- 情報検索・検索拡張生成
- データプライバシー
- 情報ストレージ
- 医療・文化・マルチメディアデータへの応用
など、幅広いテーマが考えられます。研究成果については、国内外の学会等で発表することも積極的に推奨しています。
外部大学からの進学も歓迎します。希望する方は、大学院入試の前に研究室の研究内容を確認し、自分が興味を持つ研究テーマについて相談してください。
PhDを希望する方へ
博士後期課程では、「既存研究に対して、どのような新しい知識・方法・システムを学術的に加えることができるか」を重視します。例えば、
- 新しいデータ管理アーキテクチャ
- 新しいデータマイニング・検索アルゴリズム
- 高信頼性・説明可能なデータ管理
- プライバシー保護データシステム
- 推論型RAG/根拠認識型AI
- データ来歴管理と追跡可能性
- 大規模実データを用いた新しいデータ工学
などは、博士研究へ発展し得るテーマです。博士課程では、研究テーマそのものを自ら発展させ、国際学会・論文誌で研究成果を発信していくことを期待しています。博士後期課程を希望する方は、出願前に、
- これまで行ってきた研究
- 修士論文または代表的な論文
- 博士課程で取り組みたい研究の大まかな方向性
をもとに、一度研究相談を行うことをお勧めします。最初から完成した研究計画を用意する必要はありません。相談しながら、研究課題として成立する形に整理していきます。
研究室での活動
研究室ではコアタイムを設けていませんが、研究室メンバーとの議論を重視しています。原則として週2回の輪講・研究ミーティングを行います。前期は、「データ工学に関する本・論文の本読み」と「研究進捗報告」を中心に行い、後期は「研究進捗報告」について議論する機会を増やします。
本読みで扱うテーマは固定ではありません。データ工学分野の新しいトピックや、その年度の研究室メンバーの研究テーマに合わせて選びます。研究テーマによっては、他大学などとの共同研究ミーティングに参加することもあります。また、研究成果については、国内外の学会で積極的に発表することを推奨しています。
こんな人を歓迎する
現時点で高度なAIやデータベースの知識を持っている必要はありません。それよりも、
- 「なぜ?」と考えることが好き
- データから何かを発見することに興味がある
- 自分で調べて試してみることが好き
- プログラムを作るだけでなく、その方法の意味を考えたい
- 研究成果を他の人に伝えてみたい
- 新しいテーマにも挑戦してみたい
という人を歓迎します。
当研究室の研究は、単に指導教員から与えられた課題をこなすだけのものではありません。学生と教員で議論しながら、一緒に研究テーマを育てていく研究室を目指しています。
研究室に興味を持った方へ
まずは、ResearchページやPublicationを見て、研究室でどのような研究を行っているか確認してください。その中に自分の興味と完全に一致するテーマがなくても問題ありません。
本研究室では、
Methodから始めてもよい。
Dataから始めてもよい。
と考えています。
「こんなデータを研究してみたい」、「このような技術に興味がある」、「まだ具体的ではないが、データを使った研究をしてみたい」という段階でも構いません。
研究室訪問・進学相談を希望する方は、お気軽にご連絡ください。
